今回の話は完全な与太話です。話半分に……と言うか言葉遊びだと思って読んで下さい。




 アナログゲームとデジタルゲームという区分けがある。

 言うまでもなく、アナログとデジタルという対義語を、ゲームに当てはめたわけだが……、果たして、その区分けとはどこで為されるのだろうか?



 一般に普及しているゲームの中で、アナログゲームと見做されるものは「非電源ゲーム」と言われることもある。つまり、アナログゲームとデジタルゲームの差異は、電源を用いた“デジタルな”媒体を用いるか否かで発生するわけだ。

 そこには、“ゲームそのもの”が『アナログ』か『デジタル』かという認識が存在しない。



 ここで、アナログとデジタルの定義について注釈を入れたい。この二つの言葉は、意外と真実が知られていないようなのだ。



 まず、アナログというのは、数学的な言い回しを使うなら、要するに「連続性が保たれている状態」なのである。

 例えば、n次関数のグラフなどは、連続性が存在する。途中で切れていないのだ。これは座標で示すこともできれば、中心からの長さと角度で表すこともできるが、どのような方法で示しても、その数値は連続性を持つ。これがアナログだ。



 逆に、デジタルというのは、離散的な、つまり「連続的ではない状態」なのである。

 数学で例えるなら、数列が良い例となるだろう。これは、間に入っている数がない、飛び飛びのデータとして表現できる。有限なデータ量を扱うにも使いやすいし、それ故にコンピュータでも用いられる。



 つまり、先程も書いたとおり、デジタルゲームのデジタルとは、要するにコンピュータを初めとする「電源」を使っているということと同義であり、ゲームの内容がデジタルなのかどうかについては全く語っていないのだ。

 そして、こうやって考えるとゲームというものが、どれも非常にデジタルなものであることが分かる。





 アナログゲームの中でも、最も普及しているものとして、トランプがある。

 ポーカーやブラックジャック、神経衰弱、ババ抜きなど、遊び方は多岐に渡る。それ故に、非常に単純な構造をしていながらも長い間遊ばれてきたし、これからも遊ばれ続けるであろうゲーム(の媒体)だ。

 しかし、アナログゲームの代表とも言える、このトランプ、実は非常にデジタルなゲーム構造を持っているのだ。

 例えば、カードの種類はジョーカーを除くと52種類。もちろん、連続的ではない。離散的だ。

 定数p, q, rについて、p枚のジョーカーを入れて、q人でr回交換可能であるという条件の元でポーカーをした場合のゲームの流れを数える場合を想定しよう。それは、整数値で数えられる離散的なパターンが存在するはずだ。つまり、ポーカーはデジタルなゲームなのである。

 これは、言うまでもなく、他のトランプのゲームにも言える。ちなみに、ババ抜きなどの場合、こうしたパターン数が無限になることはあるが、そうしたパターンそのものは離散的に表現されるので、例外には該当しないはずである。



 さて、こうして考えてみると、世のアナログゲームと呼ばれるものが、実際は「機械を使わないから、デジタルじゃない=アナログ」という、勘違いも甚だしい認識に晒されていることが分かる。一見野暮ったい、「非電源ゲーム」という言葉の方が、断然本質を表しているわけだ。



 尚、個人的にはトランプのゲームは須くデジタルだと考えるが、以下のように考えるなら確かにアナログと言えるかも知れない。

 トランプには無数の遊び方があり、その中のどの遊び方を選択するかは、遊ぶ人間の自由だ。その「遊び方を選択する」状況は、人間の思考が関わっている以上、もしかしたらアナログ「かも知れない」。もっとも、こんなのはただの思考実験に過ぎず、しかも結局のところは詭弁だろう。そもそも、人間の思考は考え方によってはデジタルな物なのだ(ただし、「人間の思考はデジタルだ」と定めると、世の中にはデジタルなゲーム以外存在しないことになるので、この考え方はよくない。少なくとも、「人間はアナログを認識可能」なのであるから、アナログなゲームの存在自体を否定することはないだろう)。




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