貴方はTRPGに関する論考系サイトが多数存在していることを知っているだろうか?

 知っているならば、以下の文を読む必要はないかも知れない。もっとも、知っていてもろくに読んだことがなかったり、論考サイトの『読み方』を間違えている可能性もある。そうした心当たりがあるならば、一度、このコラムを読んでみてもいいだろう。

 ただし、予め断っておくが、内容的にはさほど大したことを言っていない。基本的に、『論考サイト? 何それ? 美味しい?』レベルの人に向けて書いている文なので。

 さて、TRPG論考サイトは、冒頭に書いたとおり多数存在している。だが、全TRPG人口の内、そうしたサイトを読んでいる人の数は必ずしも多くないのではないかと思われる。或いは、ほんのいくつかのサイトのみを閲覧するだけで、なんとなく肌に合わないサイトは避けている人もいるだろう。

 結論を先に述べさせてもらうが、ほとんど全ての論考サイトは非常に役に立つ。こんな場末のサイトのリプレイなんか読む暇があったら、そうしたサイトを巡った方が、絶対にいいはずだ。









 ………結論を書いてしまったので、もう下の文は読まなくていいです。

 どうしても読みたいなら止めはしません。内容は、『私が何故論考サイトを勧めるか』、そして『論考サイトを読む時にどこを注意するべきか』といったものです。

 著者の性格により結構な長文で、少々読みづらいですが、面倒くさくなったら、どこか適当な論考サイトに行ってみてもいいでしょう。























 ………………そうですか、読むのですか。なら、止めません。









 論考サイトの数は多い。

 一応、知らない人のために主なサイトをいくつか挙げてみる。管理人名を含め、細かい内容は省かせていただくが、『Scoops RPG』『このごろ堂』『馬場秀和ライブラリ』『RPGコラム うがつもの』『TRPG原理主義!』etc…と、挙げてみれば切りがない。

 もちろん、これで全部ではない。数えたわけではないが、50程度では収まらない数のサイトがある(もしかしたら、数百ぐらいあるかも知れない)。全てを網羅するのはかなり苦労するだろう。正直、私もそこまで多くのサイトを巡っているわけではない。頻繁に眼を通すのはせいぜい10ぐらいのサイトだ。

 前述の通り、TRPGファンの内、こうしたサイトを巡っている人と言うのは余り多くないように思われる。『根拠は?』と聞かれると困るのだが、少なくとも私の周囲のTRPG仲間で、好んで論考サイトに目を通している人物はいないし、コンベンションなどでもそうした話題は一切聞き覚えがない(私は良く知らないが、昔はそうでもなかったらしい。だが、どちらかというと、論考サイトの文面を偏って捉えたことによる弊害も多かったらしい)。

 『ロールプレイ』という言葉の意味も、良く分かっていない人が多いのだから、論考サイトの需要が余り多くないのは明白だと言ってもいいのではないだろうか?

 私は、日本のTRPGファンの全てに(←我ながらちょっと大袈裟だとは思う)論考サイトの閲覧を勧めたい。これには理由があるのだ。







 TRPGにおけるマナーや一般的な知識には、各ゲーマーごとの温度差がかなり大きい。

 最近になってようやく、デザイナー側からマナーについての啓蒙が(それなりの規模で)始まったようだが、その内容は充実しているとは言いがたい。

 別に、デザイナーの方々を非難するつもりはない。むしろ、ほんの数年前まで、俗に『冬の時代』と呼ばれたTRPG業界を、何とか存続可能な状態に持ち上げ、着々とその知名度を流布させてきた功績は大きい。多分、毒にも薬にもならないリプレイサイトや、特効薬か劇薬にしかならない論考サイトよりも評価されて然るべきだ。

 これは、単純に役割分担(なんならロールプレイと言ってみようか?)の問題だ。業界の人間が、マナーだとかそういったことに注意を払えるようになるには、一定以上の余裕がなければならない。正直な所、購買力に関してはカードゲームやアニメ産業に圧倒的に劣るTRPG業界に、そんな余裕はほとんどない。

 加えて、TRPGは遊び方が多種多様に渡り、一概にマナーを規定しようにもどこかで必ず無理が生ずる。貴方は、『パラノイア』と『メイドRPG』両方に通用するゲーム感覚が存在すると思うだろうか? せいぜい、ネタな行動を取るとウケが取れますよ、程度のものだろう(←全然ゲーム感覚と関係ないよな…我ながら)。要は、ゲームごと、乃至はゲーマーの趣向ごとに、必要なゲーム感覚を提供し、それを論じる場が、ユーザー主体で必要なのである。

 だからこそ、論考サイトなのだ。多くのサイトでは、TRPGをする上でのマナーや、TRPGに対する考え方などを、細かく分析している。TRPGゲーマーの中でも珠玉の碩学たちが、或いは命を削って論じ合っているのだ。まだまだ余裕がないTRPG業界に代わって。







 だが、そんな彼らの行動は、あまり目立ってはいない。殊に、ごく最近になってTRPGを始めた世代の人には(『冬の時代』以降の参入者、と考えるのが妥当だろうか)。

 やはり、TRPGゲーマーだろうと、その多くはPLをやって適当に楽しもうとするだけの受動的な人間が多数派で、積極的にTRPGについて考えるなんて面倒なことをする人は少ない様だ。当然といえば当然だが。

 だが、だからこそ、私はこれを読んでいる貴方に論考サイトを勧めたい。かなりの確率で、貴方は論考サイトを読んでいないか、正しい読み方をしていないからだ。

 是非、そうしたサイトに目を通して欲しい。確かに難解な内容のものも多いが、適当に読み流すだけでも無意味ではないはずだから。







 さて、こうした論考サイトだが、読む時にいくつかの注意点がある。







 例えば、貴方が『TRPGをする時に、キャラクター口調で話しながら、友達と一緒にわいわい騒ぎながらストーリーを進めるのが好き』な人だとしよう。

 だが、論考サイトの中には、『演技はTRPGに必要ない。場合によっては害悪にもなり得る』と書いてあることも多々あるのだ。

 こうした文面を見て、怒ったりしないで欲しい。むしろ、文を書いた人が何故そのように書いたのかを考えて欲しい。こうした場合、そのほとんどは『演技をするのは絶対悪だ』と言っているのではない。そうではなく、『演技をすることに夢中になって、周りに迷惑をかける人がいる(端的に言ってしまえば、暴走するということ)』というTRPGセッションで良く見かける光景を考えて欲しいのだ。もしかしたら、自分も迷惑をかけたことがあるかも知れないと考えてもらいたいのだ。

 貴方は、コンベンションで卓に入る時に、『たまにキャラになりきってつい暴走しちゃうこともあるので、すみませんが適度なところで止めて下さい』と言えばいい。自分で注意するに越したことはないが、実際にセッションを崩壊させるほどに暴走するぐらいなら、予め断っておいた方がまだマシだ。

 ルールをギチギチに適用してガチでやるのがどうしても嫌なら、それは貴方のゲーム感にも問題がある。何のためにルールがあるのかを、良く考えて欲しい。その時に、きっと論考サイトは貴方の助けになる。







 逆も言える。貴方が『TRPGでキャラになり切る奴は、はっきり言ってキモい』とか思っているとしよう。そんな時、先の様なことが書かれているサイトを見つけたときに、『そうそう。その通りだ。やっぱなりきりロールプレイが好きな奴ってオカシイよな』とか思わないで欲しい。貴方の好き嫌いに誰もが合わせる必要はないのだ。キャラクターの演技に力を入れる人でも、実際にゲームプレイをしっかりやる人はいるし、逆に演技をしない人で、しかもろくに動かないPLもいる(俗に言うお地蔵さんPLとは違う。お地蔵さんPLは、演技が苦手だが、きちんとゲームに参加する人だっている)。セッションの成功・不成功が、単純に演技をするか否かで決定するわけではないのだ。

 貴方は、コンベンションで卓に入る時に、『キャラになり切るのは苦手です。だから、ストーリー的に重要な位置づけのキャラクターとかよりも、戦闘や情報収集で能力を生かせるようにして欲しいです』と宣言しておけばいい。

 他の人がキャラになりきっているのを見て、気分を害するようなら、TRPGというゲームの構造が如何に演技(と言うか、即興演劇)に転化しやすいかを考えてもらえないだろうか。少なくとも、論考サイトは貴方の自己満足のためにあるわけではないのだから、どうせ読むならその程度のことは考えながら読むべきだ。注意を払って読んでこそ、論考サイトは初めてその意義を為す。







 もちろん、これは『昨今のTRPG環境で、演技の要素を全否定するのは愚かだ』とか書いてある論考でも同様のことが言える。身勝手に同意して演技のみに熱を入れたり、逆にこうした内容を嫌悪して怒りを露にしても、何の意味もない。

 これは、論考サイトに限ったことではないのだが、文を読むときには、それを書いた人間が如何なる立場・意図を持ってそれを記したのかを考えるのが基本だ。これができなければ、どんな優れた記述も曲解されて、場合によっては害を為す。実際に、論考サイトの文がそうした害を齎したことは、一部では有名だ。







 セッションの最中に反省するのは難しいし、それではゲームが楽しめなくなるかも知れない。だから、セッションとセッションの間に、余裕がある人が反省をしてみるのがいいだろう。そして、それを次のゲームに生かすことができれば、TRPGはますます面白くなる。

 だからこそ、私は論考サイトの閲覧を勧める。拙い文を長い時間読ませて済まなかったが、この文の上で私が言いたいことは、結局冒頭にも書いたとおり、そこに尽きるわけだ。







 思ったより簡潔に書けた。良かった良かった。

 ………………………いや、マジでこれでも短いんですよ、俺にとっては。




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